[4] 反町茂雄によるテーマ その4
昭和42年に中山正善が世を去り、その五年後には小汀利得も後を追います。
「業界の賑わいは四十年代に入って急速に下降に向かいます。珍書の出品が少なく、あたかも天理と時を等しくして、一段落を迎えたかのような形勢であります」
昭和20年代に市場へ大量流出した稀書珍籍が、30年代にその再配置を終えた格好であって、稀覯本の収集家はその後も後を絶たないものの、スケール感においてこの時期に匹敵する人は以後出てきません。
例えば司馬遼太郎のように、豊富な財力を駆使して珍籍を買いあさった人はいるけれども、彼の場合は小説の資料としてであり、書いた後はまた売り払っています。つまり稀書のコレクターとは違うわけです。(そのため司馬の異様な博識が一体どの書物から導かれたものか、研究が困難なのは有名ですね)。谷沢永一談「司馬さんは足跡を残さない」
洋書では、荒俣宏・鹿島茂などその限りではないようですが、「反町茂雄による主題の提示」からは外れるので、この項はひとまずこれで終えましょう。
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