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2018年12月25日火曜日

[111] 現代日本の蔵書家9 九万クラスのひとたち

★漂流教室関谷「みなさん、こんにちは。漂流教室関谷です。」
☆純クレ梅本 「純クレ梅本です。今日ご紹介するのは蔵書九万クラスの方です。」
★漂流教室関谷「七万クラス、八万クラスに続き、今回もお一人です。」
☆純クレ梅本 「さすがにここまで本持ってる人となると限られてきますね。」


★関谷「さて、昔東大には学生を前にして『日本でもうじき革命が起こる!』って説く教授が実在するという噂があってな・・・」
☆梅本「それが今日の・・・」
★関谷「そう。それが今回紹介する江口朴郎だ」

☆梅本「今までこのシリーズの蔵書家をみてきた人は分かってると思うけど、9万冊って相当な数ですよ。和書洋書雑誌あわせて90320冊。非図書資料はこのサイトでは入れないことになってますが、これも加えたら10万近いですね。」
★関谷「内訳はどうなってるの?」
☆梅本「えーと 和書10778、洋書726、雑誌78816、非図書資料8330・・・。これ、なんか変ですね」
★関谷「本が1万冊しかないのに、学術誌が8万近くもある。この人はなんでこんなに雑誌持ってんだい?」
☆梅本「この人東京大学の教授なので、基本的な文献に関してはあそこはない物はない筈です。個人で持っておかなければならない特殊な雑誌がはたして8万冊もあるのかしら?」

★関谷「しかしこれだけ情報を集めてて、『もうすぐ日本に革命がおこる』って・・・」
☆梅本「ここの管理人は無教養なので、江口さんの本は中学の時に中公の「世界の歴史14」しか読んでなかったんです。それで今回ブログで取り上げるに際して晩年の本にさっと目を通してみたけど、考え方は60年代後半とあまり変わってなかったって。歴史が大きく動く時期の直前に書かれた本なんだけど」
★関谷「同時期に、同じ共産主義研究の分野のブレジンスキーが書いた本は、直後に共産国家が破たんする事を予言していたというのにな・・・」(注 「大いなる失敗」)
☆梅本「ブレジンスキーって薄っぺらな感じの人だけど予言だけは妙に当たりますね。佐藤政権の末期の頃に日本へ来て「ひよわな花日本」って本書いてそこで将来首相になる政治家を予測してるんです。田中、福田、大平、中曽根とほとんどが的中してる。当たらなかったのは自民党を飛び出た河野洋平ぐらい。」
★関谷「まあブレジンスキーは予言したというよりも、そういう操作をする側の「中の人」だったのかもしれないし・・・」


☆梅本「江口朴郎ってある意味すごく運のいい人ですよね。1989年の三月に亡くなってる。その直後天安門事件が起こり、十一月にはベルリンの壁が崩壊してます。」
★関谷「翌年にはソ連が解体する。社会主義・共産主義の凋落を見ずに死んだ人だな」
☆梅本「死ぬまで夢の中にいた人ですよね。共産社会の実現を夢見てたルイジノーノなんかあの後自殺してるじゃないですか?」
★関谷「お前は共産主義者にはいつも厳しいな」
☆梅本「マルクス主義って経済決定論でしょう? この人はこれだけ資料集めてて、二大超大国とか言われてた冷戦時代もソ連のGNPはアメリカの十分の一以下だったって事を知らなかったんですか?」
★関谷「いや、第三世界でも共産主義への大衆の支持が伸びていて江口はそれを高く評価してて・・・」
☆梅本「この人コミンテルンにも詳しいんでしょう? なら第三世界の左派運動なんか西側の資金がないと」
★関谷「それ言うと陰謀論になっちゃうでしょう! というか、俺が何で江口の弁護してるんだ?」


☆梅本「今回の教訓は、いくら資料を集めたところで、分析する側のメンタルに客観性が欠如していれば全く意味はないという事ですね?」
★関谷「そういう事。 今日ご紹介した方はお一人でした。来週は、いよいよ十万越えの人達が登場することになります。ついにここまで来ました」」

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