☆梅本「今回は8万クラスです。立花隆さんお一人です。『ぼくはこんな本を読んできた』(1995刊)の頃は三万五千冊ぐらいだったそうですが、『立花隆の書棚』(2013刊)の頃は本人評価で七~八万だそうです。五年前のデータですから8万には届いてるんじゃないでしょうか。というかもっと増えてるかもしれません。新しいデータが出たらまた書き直す。それだけですよ」
★関谷「立花さんといえば、やはりあのネコビル・・・ 『立花隆の書棚』は楽しい本だよ。ネコビル内部の写真がふんだんにある」
☆梅本「ネコビルの話も面白いんですが、それよりこのブログの管理人が出てきて弁明するそうですよ。 はじめに のところで立花隆さんと松岡正剛さんを『企画モノの蔵書家』とか無茶苦茶書いてたでしょう。その弁明だって」
□管理人「ブログの管理人です。あれでは意の通じないところがあろうかと思いまして・・・」
★関谷「謝りに来たのか!」
☆梅本「土下座しに来たのか!」
□管理人「私は個人的には立花さんも松岡さんも嫌いではないです。本を読ませてもらっても面白いし。ただ、蔵書家としての取り上げられ方をみると、やはりどうかなと思うところがある。
やっぱり、この人の本質はジャーナリストなんですね。だから本以外に情報源が多彩すぎて、本はその情報源の一つに過ぎない。それも主要なものではなくバックグラウンドを豊穣にするためのものというか・・・
それと書くものが、本の世界にどっぷりつかってあちこち漁りつくした末にたどり着いたテーマというより、脳死とかサル学とか、メディアの要請に応えて取材してみたという印象が強い。
さらにご本人は書評家でもあるので、『本について書いた本』では常にその時々のベストセラーを中心に紹介してるというか、『本当の好み』ないしは『執着する対象』が今一つ見えてこない。
私がある程度興味をもてる蔵書家って、その人間の癖が強烈に出てる人なんです。別に稀覯本のコレクターじゃなくてもいいんです。
昔はこんな本誰が買うんだろうと思ってた本を、その後知識が広がり興味がどんどん過疎地に導かれて、いつの間にかそれに大枚はたいてる自分がいる。変なところに辿り着いたなあという感慨を持ちつつ、たぶん他人からはなんでこんなもん買うんだろうと思われるようなものばかり買い続けてる。そういう感じのひと。
前頁で取り上げられてる草野さんの場合、収入の七割を本に使い、『本の隙間に住まわせてもらってる』と口にし、最後は本の谷間で横たわってるのが発見された。
これでは「本を読んだ人」ではなく「本に読まれた人」だと思われる方もいるかもしれない。例えば、岡田斗司夫が3万7千冊の本を処分して、千冊だけにした理由は、「本の奴隷になりたくない」という恐怖感でしょう? それを捨てずに、最後まで行っちゃったのが草野さんだと思うんですよ。
立花さんが巨大な蔵書を保持しながら、その奴隷にならず、自分をコントロールできているのは、多分いろいろなコツを持ってるためだと思います。例えば立花さんは「本は、読むものではなく(辞書みたいに)引くものだ」と言ってます。ジャーナリスト出身で大量の情報を処理するすべを学んでる立花さんはそういうコツを他にもたくさん持っているに違いない。
だからそういう人の情報整理は明晰で的確で、お書きになるものもやはりそういう風になってる。でも、そういう人の書くものは面白くないんですよ。整理されすぎちゃって。
情報ツールとして本を自在に使いこなした立花さんは「本を読んだ人」であり「本に読まれた人」ではない。でも興味の対象としてはやや劣るんです。一般人から見たら、立花さんは自分たちよりたくさんの本を買う金を持っていて、たくさんの本を読む時間を持っていて、自分たちにメディアおすすめの本を紹介してくれる人という風に見えてしまいます。「メディアが用意した」とまでいえば言い過ぎになりますが・・・
松岡正剛さんもこの人は大変博識なんだけど、千夜一夜ですか。もう千冊とっくに超えちゃってるけど。あれ全部読むってすごい馬力ですね。
ただその選択があまりにも80年代のニューアカブームを反映していて、なにかと似てるというか・・・ 戦後民主主義の全盛期に岩波文庫のおすすめみたいな特集があったでしょう。推薦人が丸山眞男とか中野良夫とか、今から見るとゲゲッていうようなメンツがゲゲッていうような本を薦めてたやつ。
松岡さんのセレクトはもちろんそれとは比べ物にならないんだけど、やっぱり今の出版界がおすすめしてる流行の・・・・ だから逆にそういうのを全部読破してゆくって、すごい馬力だなあと感心しちゃうんです。
立花さん同様に情報源が多様で、ご本人がある意味『本を超える人』であることだけでなく、立花さん同様、書評欄でおすすめの本ばかりを推薦されてるというか・・・
書かれたもので面白い本は多いし、好きか嫌いかといえば好きなんだけど、一方で小谷野敦が言ってるようなこともよく理解できるんですね。
ここは立花さんのコーナーなのでこれくらいにします。松岡さんを取り上げるときにまた寄せてもらいますよ。それでは失礼します」
☆梅本「今のはいったい何??」
★関谷「というか、あいつは謝ったのか??」
★梅本「最初面白いって言っといて、後で面白くないって・・・」
★関谷「それより、草野さんって一体誰だ??」
☆梅本「いったい何しに来たんでしょう??」
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