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2018年12月19日水曜日

[107] 現代日本の蔵書家5 五万クラスのひとたち

★漂流教室関谷「今日は5万クラスの蔵書家を紹介します」

☆純クレ梅本 「前に蔵書家は一万を越えるレベルになると、グッと人数が減るって言ったでしょう?」
★漂流教室関谷「はい」
☆純クレ梅本 「もう一つの壁が、この5万クラスなんです。ここからさらに数が減ってきます。」
★漂流教室関谷「今まで、一万クラスで紹介したのが34人、二万クラスで紹介したのが21人、三万クラスでは15人、四万クラスでは12人だったよね。」
☆純クレ梅本 「今日は4人です」
★漂流教室関谷「4人?」
☆純クレ梅本 「そんな寂しそうな顔しないでください」


★関谷「じゃあまず・・・植草甚一なんだけど、最後どれぐらいになったんだろう?」
☆梅本「4万冊とも言われてるし、5万に届いたとも・・・・・ はっきりしませんね。でもニューヨークで買い集めた洋書とか多いんでしょうね。この人ジャズのレコードもたくさん持っててそっちはタモリが引き取ってます。4000枚でしたっけ」
★関谷「ミステリ評論家、映画評論家、ジャズ評論家って色んな顔があるんだけど、なんなんだろうこの人」
☆梅本「どれでも一番にならなかったところが魅力なんじゃないんですか? ミステリ評論家としては知人の中島河太郎が最高権威でしょう? 映画評論でも、やはり友人だった淀川さんや双葉さんの方が批評家としてメインの存在になってる。ジャズ評論家としても油井正一の方が・・・ 油井さんは専業だからレコードは倍の8500枚持ってましたね。」
★関谷「雑学屋でもないし・・・海外文化紹介屋かな? しいて言うと、サブカルの元祖になるのかな? 本やレコード以外にグッズコレクターでもあって、そっちは系譜的に所ジョージあたりにつながる。

    もともと日本のサブカルには二つの源流があって、一つは植草甚一から高平哲郎を経てタモリに流れる『宝島系』、もう一つは『ガロ系』で70年代初めにそこを乗っ取った赤瀬川源平が自分の弟子二人を編集長にして、前衛的な実験漫画誌をサブカル漫画誌に変えて・・・」
☆梅本「その赤瀬川さんも1万冊クラスで言及しましたね。今の文化人ってみんなサブカル系文化人ばかりになっちゃったけど80年代はじめがターニングポイントなのかしら? 」
★関谷「植草さんの本は大和小で漂流してた時よく読んだよ。直接原書にあたってるから、日本での一般的なあちらの文化の紹介と角度が変わってて、例えば映画評論家でもバザンとかじゃなしにディリス・パウエルとか、漫画でも小野耕世のアメコミ紹介なんかとは違ってて風刺系の本流を・・・」


☆梅本「さて、彼らとは本棚の内容は全然違うんでしょうが、国文学者の曽根博義が堂々の蔵書5万冊です。伊藤整なんかの研究やってた人。この人論文はあるんですけど、著作が見つからなくって。だからアマゾンリンクが作れません。次にフランス文学者の鹿島茂さんがやっぱり五万クラス。洋書中心で、しかもあちらの稀覯書が多いそうですよ。」
★関谷「この人はこれからも増えていくだろうね。やたら一般向けのエッセイや著書が多いのも稀覯本買うためって話だから。それにしても巴里を題材に一体いくつ本を書いてるんだ?」

☆梅本「最後は評論家の森本哲郎さん。自宅に五万冊あったんだけど、他にも二か所にあるっていうから実数はもっと多いと思います。キャスターとして活躍してたのは80年代だからもう知らない人も多いでしょう。あの森本毅のお兄さんなんです。だから兄弟でキャスター。でも今の若い人は久米宏と森本毅の視聴率戦争とか、誰も知らなかったりして」

★関谷「今回紹介した蔵書家の方は四名です。」
☆梅本「ここから上は全国的に名前が通った人ばかりなので、今までみたいに『それ誰?』って人はあまりいなくなりますね」


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